チエコ2020 Web講評会
本当でしたら今頃は、5月16日に開催されるはずだったチエコふぇすの報告を読んでいただいていたはずでした。以前お知らせしたように、新型コロナウイルスの感染拡大により、リアルな会場でのふぇすは中止とさせていただきました。お寄せいただいた素敵なアイデアの数々は、こちらのプレゼンテーションやweb上でご覧いただければ幸いです。審査委員からのコメントもご紹介します。
最初に、メッセージをお寄せくださった審査委員のご紹介をさせていただきます。
●審査委員長 宿谷昌則さま(東京都市大学名誉教授)
コロナウィルス禍はあっという間に世界中へと広まってしまい、収束と言えるまでにはまだまだ時間が掛かるだろうと思われます。コロナウィルス禍は、科学や技術の在り方、社会の在り方、都市文明の在り方、建築文化の在り方などを改めて問い直し考え直していく必要のあることを、私たちに知らしめつつあるように思われます。「チエコ」のような活動は、技術や社会の在り方を、ちょっと立ち止まって考えてみようとの趣旨から始まったのだと思いますが、コロナウィルス禍は、その意義を浮き彫りにしつつあるように思います。
●審査委員 フジイチカコさま(ソーラー女子・染織作家)
今回のチエコふぇすはエコを学んで語る1日にしたいと楽しみにしていましたが、新型コロナ対策及び緊急事態宣言で中止になってしまい残念でした。2030年までに持続可能な経済発展を目指すSDGsや10代の環境活動家グレタさんがメディアで大きく取り上げられたり、世界のあちこちで地球環境と経済活動との調和を目指す動きが活発になってきたところだったのに、世界規模の新型コロナ感染拡大で地球環境のことは一旦棚上げになってしまった感があります。でも、この新型コロナはもともと人間の社会とはかけ離れて存在していたウイルスが環境破壊によって人間社会に近づいてしまったという説があるそうです。私は素人なのでこの点は他の先生方がお詳しいとは思いますが、最近のお話会やWSなどで私は「もう地球環境は崖っぷちでこのカーブを曲がり切れるかどうかが、ここ3年から5年の私たちの行動にかかっています。」と参加者の方々に訴えてきました。ここ数年の日本の豪雨や台風被害は、世界ランクの上位を占めるほど莫大な経済損失をもたらしています。「エココンテスト チエコ」は2014年に始まって6年目になりますが、残念ながら日本の原発は再稼働を始め、気候変動は激化して地球環境は悪化の一途をたどっています。
これから新型コロナの感染予防対策が世界規模で必要とされて「新しい生活様式」に経済・社会すべてが変わっていくと思います。もしかしたら握手ではなく日本式のおじぎが世界標準になるかもしれないですし、個人的には家の玄関には手を洗う場所が欲しいです。リモートワークと教育のためのスペースや家の中で運動できる設備が個人住宅の標準装備になるかもしれないです。これからは、3蜜を避けるための公共の乗り物、建築や街並みのデザインなど、「withコロナ」への時代に大きく変わっていくのではないかと思います。
だからこそ、私のような一般人から学生、教育者、専門家、建築の現場や編集に携わる方など、いろいろな立場の方々が集まってフラットに学んで語り合う『チエコ』のような場が大切なのだと思います。